横河電機 革新的なバイオプロセス向けデジタルツイン技術をもつInsilico Biotechnologyを買収
~ バイオ医薬品の開発から生産までのソリューション構築を目指す ~
東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、バイオプロセス分野向けにソフトウェアの開発、およびサービスを提供しているInsilico Biotechnology AG(インシリコ バイオテクノロジー AG 本社:ドイツ シュトゥットガルト CEO:Klaus Mauch 以下 Insilico社)の株式を100%取得いたしましたので、お知らせします。当社はサステナビリティ目標において、バイオエコノミー確立への貢献を重点課題の一つとしていますが、その基盤分野であるバイオプロセスをバイオ医薬品向けに展開し、開発から生産までのトータルソリューションの構築を目指します。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックという背景もあり、副作用が少なく、難治性が高い疾患や希少な疾患にも適用できると言われるバイオ医薬品は、需要がますます高まっています。しかし、化学合成による一般的な医薬品と比べてトータルコストが高く、ターゲットとするたんぱく質を安定的に効率良く得るための細胞培養工程は複雑で、厳密な品質管理を行わなければならず、大量生産が難しいという課題があります。
バイオリアクター内には、膨大な数の培養用の細胞が存在しています。医薬品の有効成分となる有用物質は個々の細胞から生産されるため、それぞれの代謝反応を観察する必要があります。また、pHや溶存酸素濃度といった細胞の外で起きる環境変化についても、リアルタイムに可視化し、解析することが重要です。しかしながら、設定した多数のパラメータのもとに複雑な細胞の反応系を制御し、細胞の生産活動を行うことは決して簡単ではありません。
Insilico社が提供するデジタルツインは、独自の細胞内代謝ネットワークモデルを中心とする機構的モデル※1に、プロセスデータの機械学習処理により構築されるデータ駆動型モデル※2を組み合わせた高度なハイブリッドモデル型の技術です。予測、シミュレーションによって、数年間にわたるプロセス開発の期間が劇的に短縮できるとともに、代謝プロセスについての深い理解が得られます。また、様々な細胞や菌に対しても代謝モデルを構築できるため、バイオテクノロジーを応用する食品や化学品など幅広いアプリケーションにも適用できます。
さらに生産においても、Insilico社のデジタルツインの技術を活用すれば、プロセスデータをリアルタイムに処理することができます。そして、培養パフォーマンスの常時予測や直接計測ができない栄養成分のソフトセンシング、早期のプロセス異常の予兆検知、オペレーターへのガイダンスに運用することも可能です。お客様のこれらの生産課題を解決するデジタルツインの技術によって、製品の品質を安定化させ、効率的な大量生産の実現に寄与していきます。
Insilico Biotechnology AG, CEOのKlaus Mauch氏は、次のように述べています。「当社のバイオプロセスにおける最先端のデジタルツインのソフトウェア技術と横河電機の医薬品生産系ソリューションの融合に期待しています。横河電機のグローバルネットワークを通じて販路を拡大し、バイオ医薬品業界に大きく貢献できると信じています。」
横河電機 執行役員ライフ事業本部長の中尾寛は、次のように述べています。「大手バイオ医薬品企業に実績のあるInsilico社の革新的なデジタルツインの技術が、バイオプロセス業界のデジタルトランスフォーメーションを加速させることを確信しています。当社のエンジニアリングテクノロジーを駆使し、バイオプロセスの産業化を視野に入れて展開していきます。」
Insilico Biotechnology AGの概要
- 設立:2001年
- 所在地:ドイツ シュトゥットガルト
- CEO:Klaus Mauch
- 社員数:29名
- 事業内容:デジタルツインによるバイオプロセス向けソフトウェアの開発、およびサービスの提供
- ホームページ:https://www.insilico-biotechnology.com/ (英)
※1 機構的モデル(Mechanistic model):対象とする反応や機構の基本的な原理原則に基づいて開発されるため、モデルを構築するにはプロセスの深い知識と理解が必要とされる。結果として得られるモデルは、物理的に解釈可能な変数やパラメータを持っており、高度な汎用化が可能である。しかし、高精度な物理モデルの開発には、高い開発・計算コストが必要とされる。
※2 データ駆動型モデル(Data driven model):機構的モデルと異なり、対象とするプロセス原理の知識は必要ない。メリットは簡単に実装できること、開発・計算コストが比較的低いことなどが挙げられる。しかし、予測やシミュレーションを行った際にデータを解釈しにくいことや結果を汎用化しにくいことが挙げられる。また、モデルの構築に大量のプロセスデータを必要とすることなどが、この手法の難点とされている。
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